日本を代表する伝統芸能の一つである歌舞伎ですが、ちょっとご年配のかたの見るもの・・・というイメージがありませんか?
若い人には敷居が高いというか、かたくるしい感じがするというか、あまり興味を持てない人が多いかもしれませんね。
しかし、そんな歌舞伎界にもおもしろい役者さんがいるのです!
今回は、歌舞伎界の異端児とも呼べる、四代目尾上松緑さんをご紹介したいと思います。
アニメとヘビメタが大好きで、学際時代にはバンドを組んでいたという尾上松緑さん。
雑誌の対談現場に、金髪ウエスタンブーツといういでたちで現れて、対談相手を驚かしたという異色の歌舞伎役者さんです。
尾上松緑、藤間勘右衛門の日記というブログを書いておられるのですが、最近そのブログに書かれたある内容が、ネットでさわがれていました。
尾上松緑さんとは、どんな人なのでしょうか?
ご本人が書いているブログをもとに、探っていきたいと思います。
お付き合い、よろしくお願いします!
尾上松緑とは?
名前:尾上松緑(おのえしょうろく)
本名:藤間あらし
生年月日:1975年2月5日
出身地:東京都
血液型:A型
屋号:音羽屋
なんともやんちゃなイメージの写真ですね。
ワイルドなおやじ!という感じですが、尾上松緑さんは、由緒正しい歌舞伎界のプリンスなのです。
正確には、四代目尾上松緑。お父さんは初代尾上辰之助、おじいさんは二代目尾上松緑という歌舞伎一家に生まれ、舞踏家としても藤間流勘右衛門派の家元をつとめています。
だからブログのタイトルが尾上松緑、藤間勘右衛門の日記となっているのですね。
私は最初読んだ時に、2人で書いているブログかと思ってしまいました。
そんな尾上松緑さんのブログですが、世間をさわがせた内容とは、どのようなものだったのでしょうか?
尾上松緑がブチ切れた事件とは?
今年にはいって猛威をふるっている新型コロナウイルスの影響で、劇場は相次いで公演中止となりました。
役者さんはもちろん、関係者のみなさんが、舞台を再開できる日がくることを願って苦しい時を耐えていました。
そんななかで、劇場の入場制限や感染対策を行うなど厳しい条件付きではあるものの、徐々に劇場公演が再開されはじめ、「さぁ、ここから!」という時に、ある事件がおこってしまいます。
2020年7月に新宿シアターモリエールで上演された舞台で、新型コロナウイルスのクラスターが発生してしまったのです。
このことに対して、尾上松緑さんはブチ切れてしまいます。
クラスターがおきたという事実そのものに怒っているのではなく、クラスターがおこるかもしれないと分かっていながら、何の手段も講じなかった舞台関係者に腹をたてられているようですね。
ふざけやがって
考え無しに目先の金に釣られて尻尾振りやがった罪は深い
万死に値する
覚悟もへったくれも無い世間知らずの小僧共が生半可な気持ちで遊び半分に首突っ込んで掻き回していい世界じゃない
そんな奴等に箱の大小、ジャンルは様々に分かれていても舞台、ステージに命を懸ける志に関しては一致する我々の気持ちが分かる訳等断じて無い
慎め、餓鬼
舞台を舐めるなよ
なかなか、過激なお言葉ですね。
しかも、お客さんを危険にさらしたことが、何よりも許しがたいようです。
かなり過激な言葉でつづられたこのブログが、賛否両論、ネットで話題になっているようです。
ツイッターでも、「ズバリ言ってくれてすっきりした!」という賛同の意見から、「偉そう。何様?」という手厳しい意見まで、さまざまにありました。
確かに、言葉使いが荒々しい感じはいなめません。
しかし、尾上松緑さんはブログのタイトルを「日記」と書かれていますよね?
自分の日記に自分の正直な気持ちを書いただけだと思うのですが・・・。
書いてある内容も、私は共感できる部分がたくさんあったのですが、日本を代表する古典芸能を継承している人間として、ありえない言葉だなどと、厳しい意見もあるようですね。
このブログを読むと、尾上松緑さんはちょっと怖い人なのかな?と感じてしまいますが、実際はとても気配りのきいた優しい人柄のようです。
ある時、同じ舞台に出演していた長唄 三世の 杵屋勝吉治さんが、毎日尾上松緑さんの楽屋にあいさつに行っていたそうですが、とても低姿勢でいつも杵屋さんを気にかけてくれたそうです。
何か注文がある時も、「こういう風に変えていただくことは可能でしょうか?」という物言いで、こんな腰の低い役者さんは見たことがないと言っています。
だからこそ、こんな人柄の人があんな強い物言いをするとは、よほど許せないのだと杵屋勝吉治さんは感じたそうです。
新型コロナのせいで、歌舞伎の舞台も中止や延期が続くなかで、尾上松緑さんはYouTubeで練習の様子を配信したりと、試行錯誤で頑張っておられます。
舞台に立ちたい。
お客さんに楽しんでほしい。
でも、少しでもお客さんを危険な目に合わせるわけにはいかない。
そんな苦悩のなかで、この事件を耳にして、許せなかったのではないでしょうか?
尾上松緑は北斗の拳とミルクボーイの大ファン?
尾上松緑さんのブログから読み取れる人柄や趣味などを探っていきたいと思います。
ブログを読んでいると、趣味として読書をあげられていました。
その中でも、とくに「北斗の拳」がお好きなようで、私も北斗ファンとして親近感がわきました。
暴力アニメのように思われがちな北斗の拳ですが、熱い男の友情と信念がつまった名作ですよね!
他にも、ルパン三世が好きだとか。男の美学ですよね、分かります!
「辺境の老騎士 バルド・ローエン」は私も最近読んで、すごく感動した漫画なのですが、尾上松緑さんも好きな漫画の1つにあげられていて、ますます親近感を持ってしまいました。
とある日のブログには、漫才コンビのミルクボーイを、面白い・正統派の漫才師だと絶賛されていました。
同じ舞台に立つ者として、お客さんが劇場にいる間は嫌な現実を忘れて楽しんでもらいたいと思う気持ちは自分も同じ。
ミルクボーイの漫才には、その思いがあふれていると感じるそうです。見習いたいとまで書かれていました。
こうしてブログを読んでいて思ったのですが、尾上松緑さんは文章を書くのがとてもお上手ですね。
けっこう長い文章を書いておられますが、読みやすく、あきない構成になっています。
文章を書く仕事をしている身としては、ぜひ見習いたいですね。
まとめ
- 四代目尾上松緑は、父も祖父も歌舞伎役者という、名門の歌舞伎一家に生まれた。屋号は音羽屋。歌舞伎だけでなく、舞踏家としても藤間流勘右衛門派の家元をつとめている。
- ブログで、新型コロナウイルスのクラスターが発生した舞台の関係者を痛烈に批判したことで、ネットでは賛否両論の騒ぎがおきた。舞台人としてのプロ意識から、思わずきつい言葉になってしまっているが、本人の正直な気持ちがつづられたブログには共感する人も多い。
- アニメやお笑いも大好き。かなりの種類を読んでいる様子。お笑いでは、ミルクボーイを大絶賛されている。
押し出しのよい姿で、豪快な荒事やスケールの大きい時代物の大役を得意とする尾上松緑さん。
江戸っ子の心意気を表現する役では、確かな存在感を放つ立役です。
そんな尾上松緑さんのブログにも、江戸っ子の心意気が随所に感じられます。いろいろな意見があるとは思いますが、これからも思いのままを飾らない言葉で書いてほしいなと思います。
時代劇も大好きだという尾上松緑さんですが、いつかこんなセリフを歌舞伎の舞台で言いたいそうです。
「俺の名前は引導代わりだ、迷わず地獄に落ちるが良い。」
似合いそうです!いつか聞ける日を、楽しみに待ちたいと思います。
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